このブログ、普段は落書きの備忘録として淡々とイラストや漫画をまとめているだけですが、今回は珍しく感想記事を書こうかなと。
もう公開からはやいもので1ヶ月もたちましたしそろそろいいかなあと。
さてさて、ということで、本記事は
今、ドラえもん界隈を賑わせている
映画ドラえもん四十作目にして連載五十周年記念作品「のび太の新恐竜」の感想記事です。
長文感想書くのなんて初めてなのでイキアタリバッタリ駄文メーカーです
ちなみに僕はというと、「のび太の創生日記」から「のび太の新恐竜」まで欠かさず劇場でドラえもんを鑑賞し続けている、そろそろ古参ぶれそうなドラえもんファンです。
90年代からのドラえもんファンが古参の仲間入りするのは個人的には恐れ多いですが…
さて、「のび太の新恐竜」の感想ですが、
結論からいうと、僕は好きな映画です。
しかし、この映画を認めたくない、好きになれないというドラえもんファンがいるのも非常によくわかる映画でした。
熱心な年季のはいったドラえもんファンなほど、そういう感想を持つんじゃないかなと。そういう感想持たない人は熱心なドラえもんファンではない、ということではないですけど。うーん。
思い返すと今作は五十周年記念作だったり、タイトルがのび太の恐竜と紛らわしかったり、賛否の激しかった「のび太の宝島」監督脚本タッグ担当作品だったり、ダブル主題歌という謎の宣伝文句にツッコミが入ったり、なによりコロナによる公開延期で初の夏休み公開になったり、歴代でもトップクラスに話題に事欠かなかったんじゃないでしょうか
あれ…ややネガティブな話題が多い…?
他にもキムタクが声優として起用されたり、ミスチルが主題歌を担当したり、大ヒットさせるための駒は全て揃えた!と言わんばかりの完璧な布陣でした。
それがまさかこんな世界情勢になるなんて思いもよらなかった…本来であれば歴代ナンバーワンの興業収入になっててもおかしくなかったと思います。
なんとも時勢が良くなかった。
ここからは多少ネタバレの感想になりますので、ネタバレOKな方のみご覧ください。
まずは良かった点を書き連ねていきたいと思います。
【良かった点】
■生き生きとした高品質の作画
いままでの映画ドラえもんの総決算のようなリッチな作画で、観てるだけで楽しかったです。
キャラデザは新大魔境・月面探索記のようなテレビ本放送の延長線のような作画か、新魔界~新宇宙開拓史あたりの鉛筆で書いたような作画が僕は好みですが、好みはおいといて新恐竜の作画は映画ドラえもんのひとつ到達点とも思いました
なんというか、第一作のび太の恐竜からいままでのドラえもんのキャラデザの良いところをそれぞれから抽出したような記念作品に相応しい作画だったと思います
■今までにありそうでなかったお馴染みの道具の描写を存分に表現
個人的な新恐竜の一番の見所なんですが、タイムマシンで冒険に出発する際の一連のシーンが今までにありそうでないような表現で凄くワクワクしました
タケコプターで空を飛ぶ表現も今回作画の良さも相まって没入感が群を抜いていたと思います
これを大画面を観るだけでも価値があるんじゃないかな
■捻られたタイトル「のび太の新恐竜」
発表された時はなんてややこしいタイトルなんだと否定的な意見が多かった印象です
ドラえもんのリメイク作品タイトルが新のび太の○○かのび太の新○○か統一してないのが…という背景もあり、そもそも新恐竜が新作なのかリメイクなのかもわからない、期待できないタイトルだなあと感じた記憶があります
ところがどっこい映画視聴後はこのタイトルではなければならなかったんだなと熱い掌返しをせざるを得ない
ダブル、もしくはそれ以上のミーニングになってる実に捻られたタイトルだったと思います
令和の新しい「のび太の恐竜」であり、新学説の恐竜の話であり、恐竜が新しい進化を遂げるまでの映画であり…
ドラえもんの映画タイトルで初めて「なるほどなぁ」と思えたかもしれません
…とはいえ新作なのかリメイクなのかわかりにくいタイトルで、ドラえもんに明るくない人には優しくないことには変わらないけど…
■「のび太の恐竜2006」へのファンサービス、オマージュ
「のび太の新恐竜」は、監督のインタビューで「のび太の恐竜で、のび太が孵した卵から産まれた恐竜がピー助ではなかった場合のパラレルワールド」と明言されてます
そうした設定もあり、至るところにのび太の恐竜、特に2006バージョンへのファンサービス及びオマージュが豊富にちりばめられてます
一番ささやかに嬉しかったのは最初ののび太達の服装が恐竜2006と同じだったところかな
作画もなんとなく2006に寄せてた気もします
そしてスーパーサプライズの「あのキャラ」の再登場
これははっきり言って禁じ手、悪くいえば卑怯です
そんなん涙腺緩むに決まってるじゃないですか
予告で仄めかされてはいたんですけどね…
このサプライズの映画としての立ち位置は、いいさじ加減でかなり良かったと思います
あくまでファンサービス。それでいてチラッと画面に出るだけではなく重要なシーンとしての演出、にも関わらず映画の主題から逸れないよう悪目立ちはしない。
これ以上ない上手い扱いだったなぁと
…とはいえやっぱり禁じ手なので、かなり賛否両論を呼ぶファンサービスだったと思います。これは後述しますが
でもこれ、事前知識無しで観に行ってたらボロボロ泣いてたかもしれません、僕はコミカライズを先に読んでた、少し損した気分…
観てない方は確実におお!ってなること間違い無しです
■ドラえもんの世界観の根幹に触れる展開
これもまた賛否を大きく分断する展開をぶっこんできたなと
…まず、大前提になるのですが、僕が最近の映画ドラえもんに期待しているものは「いままでのドラえもんの良さを大事にした、今までにない新しいドラえもん」なのです
それって凄くハードルが高いと思いながらも、わさび版ドラえもんはそうあるべきだと思ってます
でないとリメイクを作る必要ないじゃないですか
過去の名作を今の子供達に見せるため、という意義があるのも理解してますが、それは映画作品としては関係ないことですし
その「新しいドラえもん」というのは映像技術だったり、昔は不可能だったリッチな作画でもいいと思っていますし、今までに触れられることがなかったようなテーマ・ストーリーだとベストです
なので、過去作の良さを存分に生かしつつ作画もパワーアップしストーリーも原作を補完し「のび太の史上最強の家出」を完結させた「新日本誕生」や、ドラえもんとのび太の心が打ち解けた瞬間をという今まで描写されなかった場面をキーとしつつひみつ道具大集合というありそうでなかったテーマを描ききった「ひみつ道具博物館」が僕は大好きです
「新しいドラえもん」を作っていくというテーマを掲げたであろう、挑戦的な「のび太の恐竜2006」は実に罪深い作品だと思います
かくいう僕は当時心を奪われました
…前置きが長くなりましたが、「新恐竜」はドラえもんを観たことがある誰もが少しは頭をよぎったことがあるであろう「なぜドラえもんは歴史を改編しているのにタイムパトロールに捕まらないのだろう」という疑問に対してひとつの回答を出しました
藤子F先生の名作「タイムパトロールぼん」と絡めるという、またかなりの禁じ手を使って
それを公式が映画でやるのか!?と思わざるを得ないのは確かですが、公式の映像で観てみたくなかったといえば嘘になります
あぁ、なんという新しいドラえもんを魅せてくれたんだと
もうこの展開だけで「新恐竜」は頭一つ抜けたな、と思えたほどです
こういうと今までにない斬新なドラえもんが見れればそれでいいみたいに取られるかもしれませんが、「ドラえもんらしさ」から逸脱しないことは前提なのは言うまでもないのです
…この「ドラえもんらしさ」が恐らく人によって違うので評価が難しいんですよね
これも後述する…かも
この根幹に触れる展開は、私としてはかなり「アリ」で必見の価値ありです
■現代にマッチした映画のテーマとストーリー展開
今回の映画は、「多様性」を主軸にした内容になっていたように思います。
これは実に現代にマッチしているテーマだなぁと
そこもまた見せ方もあって色々言われている部分ですが…
ともかく、「新恐竜」は「令和のドラえもん」を作ろうという意気込みを感じました。
新恐竜のタイトルが捻られていると前述しましたが、のび太の恐竜をこれでもかと「新しい」現代向けにアレンジされていたイメージです。
例えば、生き物を簡単に育てようとするのび太にドラえもんが苦言を呈したり、キューとミューが世間に見つかりそうになったシーンの描写であったり…
とにかく現代的なドラえもんが新鮮でした
まぁ、最近下手に昭和的な描写をするとどこで炎上するかわからなかったりするし…という話はおいといて
その多様性を受け入れることで、クライマックスにつながるストーリー展開はとても良かったです
受け入れている描写不足だったところは否めませんが…
「のび太の逆上がりができるようになる」という締めも後味が良くてとても好きです
逆上がりによる成長描写は、のび太が成長しているところを見せつつ、ドラえもんの世界には大きなダメージを与えない良い収まりどころだったとおもいます
汚い大人目線で言うと、のび太が頑張ってる場面も演出しやすいですしね!!
……さて、悪かった点も書き連ねて、総評やらなんやらまとめようと思ってたのですが、書いてたら思ってた四倍くらい長くなったので、前後編にすることに今決めました。
ということで、後編に続きます!
長文駄文にお付き合いいただきありがとうございます。
辛口の感想の後編は近日更新します…たぶん